肌荒れがひどい時などにスキンケアを断ち、肌を休ませることで美肌を取り戻す「肌断食」。モデルや著名人でも実践している方は多く、試してみたことがある、すでに行っているという方もいるかもしれません。今回は、皮膚の健康という観点から特におすすめの、スキンケアをしない「肌断食」について紹介します。
なぜ今回「肌断食」を取り上げようと思ったかというと、先日この本を読み、「私のこれまで一生懸命してきたスキンケアって一体何だったのだろう…」と大きく衝撃を受けました。スキンケアの”新常識”とでも言うべきか、世間一般に知られているスキンケアの常識を”180度覆す”内容だったので、読み終わった直後はただ呆然としてしまいました。私のこれまでのスキンケアに費やしてきたお金と時間と労力って…と、正直最初はかなり落ち込みました。
しかし考えてみれば、私はすでにシャンプーとリンスは3年前からやめており、いわゆる水のみの「湯シャン」で髪を洗っています。シャンプーをやめても、冬に乾燥したり夏に脂ぎったりすることもなく、むしろ髪本来の自然なツヤが出るようになり、毛髪量も増え、髪の一本一本が丈夫になった気がします。あの時もシャンプーをやめると決めた時は、急に髪が傷んだりするのではないかと不安な気持ちが少なからずありましたが、こうして難なくシャンプーをやめることができ、髪のトラブルとは無縁の毎日を送っており、シャンプーは私の髪には本当は必要なかったんだな、と今になっては納得しています(脱シャンプーした話はまた別記事で紹介します)。同じように、当たり前と思っていたスキンケアもやめてみたら、また自分の身体の新しい発見があるかもしれない、という前向きな気持ちになりました。
私もまだまだ「肌断食」は始めたばかりですが、皆さんにもこの記事を通して、今すぐに「肌断食」を実践できなくても、そもそもなぜスキンケアをするのか、そのスキンケアは本当にする必要はあるのか、という”スキンケアの根本”について考えるきっかけになればと思います。
肌断食とは
ひと言で言うと「何もしないスキンケア」が肌断食です。メイクや基礎化粧品を使ったスキンケアをやめることで、毎日肌に与えていた刺激やダメージをなくして肌をリセットし、肌が本来持っている保湿機能やバリア機能などの働きを回復させます。きちんとスキンケアを行っていても肌の調子が悪く、乾燥やニキビなどの肌荒れや肌トラブルが起きてしまう時に行うと効果的だと言われています。
日々、多くの人が当たり前のように行っているメイクやスキンケアですが、美容は私たちに様々なプラスの作用をもたらしてくれますが、毎日様々な刺激を与えられることにより、肌は少なからずダメージを受けており、皮膚の健康を考えると必ずしも必要なものではありません。特に、化粧品に含まれている界面活性剤や防腐剤など肌に刺激となる化学物質は、ひとつひとつの安全性はきちんと検証されてはいるものの、多数を長期に渡り使用し続けた時の安全性については十分な検証がされたことはないそうです。肌が強い人、肌が健康でバリア機能がしっかりと働いている人は、化学物質が肌にダメージを与えてもすぐに修復できるため、目立ったトラブルにはなりませんが、肌の弱い人や敏感な人は、メイクや過剰なスキンケアを行うことで、赤みや発疹などの肌トラブルとしてダメージが現れます。つまり、美しくなるためのスキンケア化粧品やコスメを使うことにより、自ら肌荒れや肌トラブルを招いてしまっていることになります。
肌断食による美肌効果
肌断食には、以下のような効果が期待できます。
・化粧品により敏感になっていた肌質が改善する
・季節や環境の変化に負けず、刺激やストレスに強い肌になる
・皮脂分泌が正常になり、乾燥や皮脂量過多による肌トラブルやテカリがなくなる
・毛穴が目立たなくきれいになり、毛穴の開きや詰まり、ニキビなどの毛穴トラブルがなくなる
・素肌が健康になり、荒れにくい肌になる
・キメが整い、ごわつきがなく手触りが良くなり、色ムラもなくなるなど、見た目にも美しい肌になる
・肌の奥から自然にしっとりと潤う肌になる
このように肌に嬉しい効果がたくさんある上に、スキンケアをやめること自体はお金もかからず節約にもなるなんて、まさに良いことづくめです。要するに、肌トラブルを改善するためにあれこれ使っていたアイテムを一度全部やめて、肌に休息を与えることで、肌本来の再生能力を高めましょう、という考え方です。言われてみれば、多くの男性はほとんどスキンケアをしていないにも関わらず、生き生きとしたきれいな肌の人が多いですよね。私は肌断食をする上で不安になる時は、何も手入れをしていないのに(何も手入れをして”いないからこそ”)きれいな肌を保っている、世の中の男性の健康的な肌を励みにしています。笑
ちなみに私が肌断食を知ったのは先ほどの本ですが、肌断食の第一人者は形成外科医の宇津木龍一先生が提唱している「宇津木式」のスキンケア法です。基本的に何もつけないスキンケアを第一としており、書籍『「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法―美肌には化粧水もクリームもいりません」』が肌断食の考え方の火付け役です。
肌断食のやり方
それでは実際に肌断食を行う方法を紹介します。急に今までのスキンケアをやめてしまうと好転反応で肌が荒れやすくなるので、まずは事前に少しずつ使用するスキンケア化粧品を減らしていきましょう。クレンジング、クリーム、乳液、美容液、化粧水の順で使用をやめ、最終的には水かぬるま湯で洗顔のみ行い、スキンケア化粧品は一切使わないようにすることが理想です。
クレンジング剤は使わない
クレンジング剤を使わなければ落とせないメイクは肌の負担となるので、コスメはお湯や石鹸で落とせるものに変えるのが理想です。どうしても油性のメイク汚れを落とす必要があるときは、ワセリンなを綿棒に含ませ、クレンジング剤の代わりにするとよいでしょう。
洗顔はぬるま湯か純石鹸で
メイクをしていなければ、埃や皮脂による汚れはぬるま湯で十分に落とせますが、汚れが気になる場合は、界面活性剤が使われている洗顔フォームなどの洗顔料ではなく、植物性の油や動物性の脂に苛性ソーダなどを加えて界面活性作用としている自然原料の純石鹸(無添加石鹸)を使って洗顔します。純石鹸は100円台から購入できるので、肌だけでなく、お財布にも優しいです。
洗顔後は何もつけない
洗顔後は、化粧水も美容液もクリームもつけず、スキンケア終了です。肌のつっぱりや乾燥を感じることもあるかもしれませんが、少しならそのままで大丈夫です。肌に保湿力があれば、しばらくしてから肌が自然にしっとりとしてきます。つっぱり感がひどく、ちょっとした刺激にも敏感に反応してしまう場合、かさつきや乾燥がひどい場合は、白色ワセリンなど不要な成分が入っていない保湿剤を気になる箇所に薄く塗布しましょう。
肌断食で起こりやすい肌トラブル
肌断食を始めると、スキンケアをやめたことによる肌荒れなどの不調(好転反応)が現われることがあります。少しずつ肌の機能が回復すれば治まる場合がほとんどなので、不調が現れたら、まずは様子を見ましょう。
肌荒れ
肌断食を始めた直後は、一時的に肌が荒れやすい傾向にあります。肌荒れには良い場合と悪い場合があり、良い場合は好転反応でしばらくすれば症状は治まり、保湿機能・バリア機能の働く健康な肌に生まれ変わっていきます。一方、悪い場合は肌が乾燥することでどんどん敏感になり、放っておくと炎症を起こし、肌の調子が悪化する可能性もあります。このような場合は速やかに白色ワセリンなどの保湿剤を塗布してください。また、赤みや腫れ、湿疹などの症状が出た場合は、皮膚科などの医療機関を受診し、専門医の判断を仰ぎましょう。
肌の乾燥
肌断食を始めると、一番気になるのが肌の乾燥です。肌がしっとりと潤った状態に慣れていると、何もつけない状態の肌は乾燥していると感じやすいのですが、肌のバリア機能が回復すればこのような症状はなくなるので、肌が断食に慣れるまで様子を見ましょう。年齢肌などで皮脂が不足し、保湿機能やバリア機能も低下していると感じるときは、薄くワセリンを塗って肌を保護しましょう。
肌のかゆみ
かゆみの原因は、肌の乾燥や、汗・皮脂、化学物質、埃などによる刺激が挙げられますが、化粧品などの影響で常在菌のバランスが乱れていると、肌にとっての悪玉菌・真菌が大量に繁殖し、かゆみの原因となっている場合があります。この場合は特に炎症を起こしやすいので、注意が必要です。かゆみだけでなく肌の赤みが出たり、肌荒れの症状がひどくなかなか治らないときは、皮膚科で専門医の診察を受けるようにしましょう。
肌断食を控えた方がいい場合
生まれつき肌の弱い方や敏感肌、アトピー性皮膚炎の方は、肌の状態が悪化する可能性があります。そのような方は、いつも通りのスキンケアを続け、肌トラブル等があったときにのみ、一時期的に化粧品の使用を控え、肌を休める程度にとどめましょう。
初心者におすすめの「プチ肌断食」
肌断食初心者の方は、まずは週末や夜だけ行い肌を休ませる「プチ肌断食」から始めるのがおすすめです。肌の状態を根本から改善するというよりは、肌を休め、もともと備わっている保湿機能を回復し、本来の保湿力を引き出すことを目的としているため、通常の肌断食に比べると効果はゆっくりですが、続けやすいというメリットがあります。
クレンジングをやめる肌断食
スキンケアでもっとも肌に負担をかけるクレンジングだけをやめる肌断食です。メイクを薄くしたり、ミネラルファンデーションやフェイスパウダーなど洗顔料だけで簡単に落ちるコスメに変えて、夜はクレンジングを使わず洗顔料だけですませます。その後の保湿スキンケアはいつも通りに行って大丈夫です。通常の肌断食に比べて肌への負担も少なく、すぐに始めることができる方法です。
夜に行う肌断食
外出予定を気にせず毎日続けられる方法です。朝はメイクをするため、いつもと同じスキンケアを行い、夜は洗顔料だけで済ませます。夜のスキンケアでクレンジング剤を使わずにメイクを落とすため、洗顔料だけで落ちるコスメを使うようにするのがポイントです。コスメを変えることで化粧品自体の刺激も軽減できます。また、ファンデーションの使用をやめたり、簡単なポイントメイクだけにしたりと、肌のことを考えたメイクを心がけると続けやすい方法です。
週末に行う肌断食
金曜日の夜から日曜日の夜まで、外出予定のない週末の3日間で行います。肌を3日間休めるだけでも、メイクのノリが良くなるなど、月曜日の朝には良い変化を感じられるのではないでしょうか。大きな変化はすぐには実感できないかもしれませんが、メンテナンスとして定期的に続ければ、強くしなやかな素肌に近づきます。
肌断食中の紫外線対策
ここで注意しておきたいのが、肌断食をはじめて数ヶ月の方は、紫外線の影響を受けやすい肌になっています。なぜならスキンケアに頼ってきた肌は、バリア機能が低下しているからです。肌断食では、スキンケア化粧品を減らして、最終的にはすっぴんでも自ら潤う健康な美肌が目的であり、肌にもともと備わっている機能で十分補えます。ところが、今まで化粧水や乳液などの保湿に頼ってきた肌は、皮脂の分泌機能や保湿因子をつくる機能が「必要がない」と誤認させてしまい、自ら潤う力が衰えてしまうのです。その状態で肌断食を始めると、保水力の乏しさから乾燥をまねきます。肌断食により少しずつ素肌の力が高まることで回復しますが、個人差があるため人によっては時間がかかる場合もあります。乾燥した肌は、バリア機能の役割をしている保護層が乏しい状態で、紫外線の影響を受けやすくなるのです。
そうすると、肌断食中でも日焼け止めクリームは塗らないと、と思ってしまいがちですが、肌断食では紫外線の害よりも日焼け止めの害によるリスクのようが大きいと考えます。日焼け止めを多用すればするほど、シリコンによって毛穴が塞がれ正常な皮脂分泌がされず、乾燥してしまい、乾燥した肌の表面で紫外線吸収剤が化学変化を起こし、ダメージを与えます。また、皮膚にとって潤いを作ってくれる常在菌が減ってしまうため、乾燥やトラブルが起きやすくなり、UVクリームを落とすためのクレンジングでさらに肌は乾燥してしまいます。このように、肌への刺激やダメージがどんどん蓄積していきます。ダメージが大きくなると、バリア機能が低下することで紫外線から守る力が弱くなるため、シミやシワになりやすい肌になってしまいます。こうして、毎日UVクリームをつけているような場合、紫外線の害よりも、日焼け止めの害によってシミやシワになってしまうリスクが増大するのです。
そこで肌断食のUV対策は、物理的に防ぐことを第一に考えます。なぜなら、日常生活では紫外線による害よりも、日焼け止めを使う害が上回ることが多いからです。肌断食は、お肌の健康や素肌力を上げるメソッドなので、なるべくUVクリームなどに頼らない方法で対策するのをオススメしています。その上で、紫外線からお肌を守る必要がある際は、日焼け止めを使います。
・20分以内であれば日傘や長袖、帽子、サングラスなどで防ぐ
・心配な方は、日焼け止めパウダー(ファンデーション)を使う
・30分以上日光に当たるときは、UVクリームを使う
また、UVクリームを選ぶ基準は、紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)、石鹸(お湯)で落ちる、SPF値20〜30程度、PA値++〜+++程度のものを選ぶようにしましょう。
私の今現在の肌断食の進め方
冒頭でも書いたように、私はもともと3年前からシャンプーをやめて、シャンプーの不必要性を身を以て知った経験があるので、肌断食に対する抵抗は比較的少ない方だったと思います。それでもやはり、”きれいな肌を作るために”当たり前のように使ってきたスキンケアアイテムを手放すのというのは、かなりの勇気が必要でした。スキンケアアイテムを使わずに、肌本来の自らの機能が発揮されるのを待つというのは、如何せん自分の肌と身体を信じるしかないので、最初は不安もかなりありました。大丈夫かな?本当に自分の肌を信じてもいいのかな?と、自分との葛藤の日々でした。
今はファンデーションをやめて、朝晩の洗顔料をやめて(水のみ、石鹸も使っていません)、化粧水と美容液と保湿液は今使っているのがなくなったらやめようとしている段階です。せっかく買ったアイテムを捨てるのはさすがにもったいなくて心痛むので、こんな感じでゆるく段階を踏んで肌断食しています。専門家によっては、紫外線による肌ダメージを防ぐために日焼け止めは塗った方が良い、という見解がありますが、私もUVクリームは顔のみに薄く塗っています。さすがに帽子や傘で物理的に紫外線を完全に防ぐには限界があるので、日常生活を快適に過ごすためには、必要最低限のものを使うのは悪くないと考えています。と言っても、塗るのは顔にほんの薄くだけ、以前みたいに厚塗りにしたり、腕や脚に塗ることはやめました。もちろんノンケミカルの肌に優しいものを使っています。
また、洗顔料はやめましたが、夜はホホバオイルなどの天然オイルで軽くオイルクレンジングをしています。これも専門家によっては、まずは肌断食の第一歩は肌に一番負担のかかるクレンジングをやめること、と言われていますが、私の肌にはオイルクレンジングが合っているみたいで、むしろその後の洗顔料の方が必要なかったことが分かりました。以前はオイルクレンジングの後に洗顔料でダブル洗顔をして油分をしっかり洗い落としていましたが、今は水で洗い流すだけです。きちんと丁寧に水で乳化させて洗えば、水だけで十分に余分な油脂は落ちます。洗い上がりはしっとりとしていて、慌てて保湿する必要もなく、ゆくゆくは化粧水も手放しても大丈夫そうな気がしています。
メイクもファンデーションはやめたものの、コンシーラーを部分使いしたり、アイシャドウやアイラインやチークなどのポイントメイク、フェイスパウダーもリップも塗ります。やはりメイクをすると気分が上がりますし、何よりきれいに明るく見せてくれるので、これからもメイクをやめることはないと思います。ここでも、油分でできているメイクをきれいに落とすには油分が一番なので、やはりオイルクレンジングは手放せません。
このように、「肌断食」と言っても人によって様々な方法があると思います。肌質や生活環境によっても、その人の肌に必要なもの、外から補った方が良いものは異なります。美肌で大切なことは、素肌の健康です。「肌断食」ではメイクやスキンケアに頼らずに、美しく健康的な肌を実現することが可能です。過剰なスキンケアは少し休憩して、まずは自分に合った肌断食を試してみてください。一緒に、肌が本来持っている美しさを取り戻しましょう。私も新しい発見があったら、ブログで共有します!