皆さんはオートミールを日常的に食べる習慣はありますでしょうか。アメリカで定番の朝ごはんのオートミールですが、日本ではあまり馴染みがなく、何となくマズそうというイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、オートミールは栄養価抜群な上に、工夫次第で美味しく食べられます。今回は、オートミールの種類と健康効果、食べ方について紹介します。
オートミールとは
オートミールとは、オーツ麦(燕麦:えんばく)を食べやすく加工したものです。殻を取り除いて割っただけのものから、押麦のような状態のもの、シリアルのように牛乳やヨーグルトをかけるだけで食べられるものまで、様々な状態のものをまとめて「オートミール」と呼んでいます。海外では朝食に欠かせないとされるオートミールは、手軽に食べられるシリアルというイメージがあるかもしれませんが、食物繊維をはじめとするさまざまな栄養素が豊富に含まれ、健康食としても人気の高い食品です。また、タンパク質が玄米の約2倍と豊富なため、最近ではプロテインと混ぜて食べるだけの粉末タイプも登場し、筋肉をつけたい方のエネルギー源としても重宝されています。
オートミールの種類
オートミールは種類によって、加熱の必要があるかないか、煮込み時間や味付けなどの調理方法が全く違います。「オートミール=シリアル」と思い込み、スティールカットオーツやロールドオーツに牛乳をかけただけで食べてしまうと、全く美味しくないです。初めての方には、オートミールの本場アメリカでも最も好まれている、クイックオーツとインスタントオーツが調理しやすくて食べやすくておすすめです。
スティールカットオーツ
脱穀した麦を2〜3に割った生の麦。
加熱して食べる・塩味のお粥に・30分以上煮込む必要あり・プチプチ食感・長く煮込むとどろどろに。
ロールドオーツ
脱穀した麦を蒸してローラーで伸ばし、乾燥させたフレーク。
基本的には加熱して食べるのがおすすめ・甘い味つけのミルク粥や塩味のお粥に・5分程度煮る・レンジでも調理可・プチプチと歯ごたえのある食感。
クイックオーツ
ロールドオーツを細かくしたもの。
生でもOK・味つけは必要・シリアルとしても塩味のお粥としてもおすすめ・加熱する場合は熱いスープに入れて1分煮る・歯ごたえはあまりない。
インスタントオーツ
ロールドオーツを調理し、味つけしたもの。
シリアル感覚でそのまま食べるのがおすすめ・味つけがされてあるので調理の必要なし・牛乳やヨーグルトをかける
私が最近食べているのは、Amazonで購入したオートミール(ロールドオーツ)です。たっぷり大容量の2kgで2,138円でした。化学農薬、化学肥料不使用栽培で、これなら安心して毎日食べられると思い、購入しました。いつも愛用している海外オーガニックECサイトのiHerbでは、オートミールの取り扱いがなかったため、Amazonで探したら色んな種類がありました。すぐに使う分をチャック袋に分けて冷凍保存、残りは冷凍庫に入れて保存しています。
オーツ麦が健康に良いと言われる効果効能
オーツ麦の健康効果というと、「グルテンフリー」や「低糖質」といったワードが挙げられることが多いですが、実際にオーツ麦にはどのような健康効果があるのか、詳しく紹介します。
①消化器系を整えて活発にして、肥満を予防する
オーツ麦には食物繊維が豊富に含まれていますが、注目すべきなのは不溶性食物繊維と水溶性食物繊維がバランスよく含まれている点です。不溶性食物繊維と水溶性食物繊維はどちらも腸内環境を改善する効能があります。体内で消化した食物を移動する、いわゆる腸のぜん動運動が活発になることで胃腸の働きがよくなり、便通がスムーズになる効果が期待できます。老廃物を体内に留めず定期的に排出することで、肥満の予防につながります。
②血中中性脂肪と悪玉コレステロールを下げる
オーツ麦に含まれるβ-グルカンは、コレステロールの再吸収を防ぎます。さらに不要なコレステロールを吸着して体外へ出す作用もあります。また血中の悪玉コレステロールを下げる効果も期待できるので、コレステロールの値が気になる方はオーツ麦がおすすめです。
③血糖値をコントロールする
オーツ麦は糖質の量は意外に多いですが、GI値が低いことが特徴です。GI値とは、糖質を吸収する度合いとして使われている値で、GI値が低い食品はインスリンの分泌を低下させる効果があります。オーツ麦に含まれる水溶性食物繊維は体の中でゲル状になり、それが消化中の食品を包み込んでくれます。そうすることで糖質の吸収が緩やかになり、血糖値の上昇を抑える効能があるとされています。
④新しい組織を生成・発達させる
オーツ麦は、実はその25%がタンパク質から成り立っています。タンパク質は、体内のあらゆる組織の生成に必要不可欠な栄養成分です。オーツ麦のタンパク質含有量は穀類の中でもひときわ高く、タンパク質の含有量の多さで知られている肉や卵と変わらないほど含まれているとされています。ベジタリアンの方は肉や魚からタンパク質から摂取できないので、オーツ麦からタンパク質を取ることもおすすめです。
⑤ガンにかかるリスクを下げ予防する
オーツ麦の効能の中で近年話題になっているのが、がんのリスクを予防するという効果です。植物性化学物質という成分が、がんの発生を予防するとされていますが、オーツ麦にはその植物性化学物質が豊富に含まれています。またオーツ麦に含まれている植物エストロゲンとリグナンという成分に関しては、乳がんの予防につながる可能性があるとして、こちらも現在研究が行われています。
⑥ゆっくり消化・吸収されて満足感が持続する
オーツ麦は水溶性食物繊維を多く含んでいますが、その水溶性食物繊維は体の中で水分を吸って膨らむという特徴があります。さらに水溶性食物繊維は粘着性があり、胃腸の中をゆっくり移動していきながら消化・吸収されていくので腹持ちがよく、満足感が持続します。
⑦骨粗しょう症を予防する
オーツ麦にはカルシウムが豊富に含まれており、なんと白米の約9倍もあります。カルシウムは骨粗しょう症の予防に効果があります。カルシウムが骨や歯の形成に必要不可欠な栄養成分であることはよく知られていますが、緊張の緩和や気持ちを落ち着ける効能もあるとされています。
⑧肌の浄化作用がある
オーツ麦の効能として女性にうれしいのが、肌の浄化作用です。老廃物を吸収することで、肌がきれいになると言われています。また、オーツ麦には良質の油が含まれていて、肌の乾燥を防ぐ効果も期待できます。さらにオーツ麦には抗酸化作用もあります。抗酸化作用とは、体内が酸化してサビついてしまう原因となる活性酸素を除去する作用のことです。オーツ麦には抗酸化作用が強いとされるビタミンEやセレン、また美肌に効果的とされるビオチン、細胞を活性化させる亜鉛も含まれています。オーツ麦を食べることで、肌の浄化やアンチエイジングにも期待できます。
⑨体重を管理してダイエットに良い
オーツ麦には豊富な食物繊維と、利尿作用のあるカリウムが含まれているため、デトックス効果が期待ができます。オーツ麦を食べることで体内の老廃物を溜めこまずに排出できるので、体重を管理しやすくダイエットにおすすめです。
⑩脳・神経系に欠かせないビタミンB群を含む
オーツ麦にはビタミンB1やB2などのビタミンB群を豊富に含みます。ビタミンB1は、糖質からのエネルギー生産を助ける効能があります。そのため、糖質を栄養源にして動いている脳神経系が正常に働くためにも欠かせない栄養成分だと言えます。オーツ麦を100g食べると、脳と神経系統が正常に動くために必要なビタミンB1が、1日の必要摂取量の40%摂取できることになります。
⑪甲状腺が正しく機能するのを助けてくれる
オーツ麦には、ミネラルの一種であるヨウ素が含まれています。ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料で、甲状腺ホルモンは新陳代謝や成長の促進働きを行う働きがあり、ヨウ素は甲状腺が正しく機能するように助けてくれる効果がある栄養成分です。オーツ麦を定期的に食べ続けることで、甲状腺機能の低下を防ぐことが期待できます。
オーツ麦の誤解されやすい点・注意する点
低カロリーではない!
オーツ麦はカロリーが低くてヘルシーなイメージがありますが、実は想像しているよりも低カロリーな食材ではありません。100gあたりのオーツ麦のカロリーは約300キロカロリーもあります。白米のカロリーが同じ100gで約350キロカロリーなので、オーツ麦は白米よりやや低カロリーという程度です。いくら健康に効果的とはいえ、オーツ麦の食べ過ぎには注意が必要です。
低糖質ではない!
続いてオーツ麦の糖質量ですが、オーツ麦は実は糖質もそんなに低い食材ではありません。白米と比較すると、白米は同じ100gあたりの糖質が76.6gありますが、オーツ麦は100gあたりの糖質が47.8gです。白米と比べれば糖質の含有量は3分の2程度で少なく感じますが、食材としては決して低糖質ではありません。ですが、オーツ麦は食後の血糖値の上昇度合いを示すGI値が低い点がポイントです。低GI値の基準値は55以下とされていますが、オーツ麦のGI値は55です。GI値が低い食材は、同じ糖質量でも糖質の消化や分解に時間がかかり太りにくいとされています。オーツ麦は低糖質ではありませんが低GI値であることから、低糖質な食材と思われているようです。
グルテンフリーと言っても、0%ではない!
最近は有名スポーツ選手が実践したことでも有名になっているグルテンフリーの食事法ですが、オーツ麦もグルテンフリーの食材として知られています。確かにオーツ麦そのものはグルテンフリーです。ところがオーツ麦は加工の段階で、ほとんどの場合に小麦が混入しています。オーツ麦の一般的な加工品であるオートミールも完全なグルテンフリーであることは少なく、多少のグルテンが入っているものが大半です。オーツ麦の加工品は100%グルテンフリーではないことを理解しておきましょう。
他の食べ物からの過剰摂取
オーツ麦の最も一般的な加工品としてはオートミールが挙げられますが、オートミールはそのまま食べてもあまり美味しいものではありません。美味しく食べるために、ミルクや甘いシロップをかけたり、フルーツやナッツをトッピングすることが多いですが、その分カロリーは高くなります。オートミールそのものに砂糖や添加物を加えた製品も多く出ていますが、その場合もカロリーの過剰摂取に注意が必要です。
オーツ麦の食べ方
基本のオートミール
オートミールはコーンフレークやグラノーラと同じシリアル食品ですが、そのまま食べると固くて味がないので食べにくく、粥のようにふやかして食べるのが一般的です。簡単な食べ方は、深い皿にオートミールと、オートミールが浸るくらいの水か牛乳を入れて、ラップをして電子レンジで1~2分加熱する方法です。時間がある時は鍋に入れて煮ると、とろとろの粥状にして食べることができます。好みの硬さと食感になるよう、水分と加熱時間の調整をしてみてください。
オーバーナイトオーツ
世界的な健康ブームの中、オーツ麦の新しい食べ方であるオーバーナイトオーツが流行しています。前日の夜に5分ほど準備するだけで、翌朝に美味しくてヘルシーな朝食を食べることができると評判です。朝は忙しくて朝食を準備する時間がとれないという方にもおすすめです。作り方は簡単で、オートミールに牛乳や豆乳、ヨーグルトを入れて冷蔵庫に入れて一晩おくだけです。オートミールのほかにも、チアシードを入れるのもおすすめです。翌日の朝にフルーツやナッツなどをトッピングしても美味しく食べることができます。パサパサした印象のオートミールがしっとりと食べやすくなるので、オートミールが苦手だった方にもおすすめです。
おかゆやリゾットなどの主食を置き換える
美味しく食べたいと思う人にまず試してほしいのは、オートミールを主食の代わりにする食べ方です。少しのお湯でふやかしたオートミールを白米と置き換えて、カレーやお茶漬けなどの味の濃いものをかけて食べるのがおすすめです。会社勤めの昼食に便利なカップタイプのスープがあれば、オートミールを入れてお湯を注ぐだけで、即席のオートミールごはんができます。味付けによって洋風にも和風にもスイーツにも、自由自在にアレンジできるので、色々と挑戦してみるのも楽しいです。私はトマトと卵で煮たトマトリゾット風の食べ方に最近ハマっています。また柔らかく栄養価も高いため、赤ちゃんの離乳食にもおすすめです。
お菓子作りに使う
オートミールはオーブンで焼くとサクサクした食感になるため、クッキーとの相性が非常に良いです。甘くて食べやすいクッキーは、おやつとしても手軽に取り入れることができ、オートミールが苦手な人にもおすすめできるレシピです。他にも自家製グラノーラ、マフィン、パンケーキ、パンなどに混ぜ込んで、オートミールの食感を楽しむのもおすすめです。
オーツ麦を食べてみよう
このように、オーツ麦は栄養価が高くてアレンジも豊富、手軽に食べることができるなど、知れば知るほど魅力的な食材です。 初めはシンプルな食べ方では慣れないかもしれませんが、フルーツやナッツやメープルシロップを加えたり、焼き菓子の小麦粉の代わりに使ってみるなどして、自分の好きな食べ方を見つけて試してみてください。オーツ麦を上手に取り入れて、健康的な生活を手に入れましょう。